ご挨拶
生命を育み、清濁併せ呑んで浄化し、全てを同化する偉力を持つ大海原の特性を身に付けた日本人になる事を目指して、昭和43年6月に創立した「わたつみ友の会」は、平成17年3月に特定非営利活動法人(NPO)となり、お陰様で平成30年には創立50周年を迎える事となります。
この半世紀の間に、社会の在り方は大きく変貌し、社会機構はより複雑となり、情報通信技術の急速な発達によってSNSの普及で世界はより狭くなり、人々の関係がより密接になったように見えると同時に、情報の氾濫によって無用な刺激と欲望だけが増大する結果となっています。一方で便利さと引き換えに、人々の間の絆や、温かな人間関係が希薄となり、深く考える事をしなくなり、人々はより孤独になり、神経症的傾向を強めています。
その原因の一つに人間の非人間化があります。人間の本来の豊かな感情や温もりを感じることなく、通信の道具を通しての機械的な繋がりになってしまった事、更に人間の心の自然法則をなおざりにし、生命を宿し、人と人と間で生きる人間として、万物の霊長に相応しい徳性(人間性)をないがしろにした所にあると考えます。
会長であられた鴨志田恒世先生は、本会の創立の当初から、こうした社会が到来する事を予見され、大変な憂いと鴻大な慈愛の心を以て、生命の在り様と人間の本来の生き方、心の自然法則、なかんずく幽玄と実生活を融合し「神と自然と人間の調和」を実現してきた本来の日本人の生き方の中に、普遍的人間の生き方と心の在り方が有る事の真実を示され、昼夜を分かたぬご指導を下さいました。
そして、私達の祖先が風雪に耐え守り育ててきた、日本人の心の中核を貫いて燦然と輝く生え抜きの伝統的精神が連綿として伝えられている事を、其処に日本人の考え方と行動の源泉がある事を教えて戴きました。
私達「わたつみ友の会」は、こうした現状に鑑み、教えて戴いた日常生活に密着した日本人の心の在り方と行動を実践し、社会化し、精神のより深いところから本来の日本人に立ち返ろうとする運動を、より公益性を以て展開する為にNPOとなり、また、全国社会教育振興協議会の一員として更に幅広く半世紀に亘り活動をして参りました。役員はじめ会員一同はこれまで以上に、伝統的日本の心を最も大切にして、人間性の回復を目指し、真の福祉社会の実現の為に更に邁進する所存です。
人生を真剣に、真実に生きようとする多く方々のご支援とご鞭撻をお願い申し上げる次第です。